2011年3月22日よりウイング眼科は、
ハイゼルベルグ社のスペクトラリスbluepeakOCTを導入しました。
OCTとはレーザー光線で
網膜の内部の層を透過して観察できる最新鋭の検査機器です。
このスペクトラリスbluepeakは、
OCTとしては、
@微小な眼球震盪を補正できる。
A同一部位を撮影して、比較できる。
という二つの大きな特徴を有しています。
網膜剥離の経過観察にスペクトラリスOCTは威力を発揮します。
上の症例は自然治癒過程にある網膜剥離です。
同一部位をスキャンした結果、網膜が復位しつつあることが分かります。
スペクトラリスの前眼部OCTは解像度が高いので、
隅角や角膜の様子が良く分かります。
下は、プラトーアイリスの症例です。
閉塞隅角緑内障の発作を起こしやすいのですが、その場合、この症例には
一般的なレーザー虹彩切開術は無効で、レーザー隅角形成術の適応となります。
更にこのスペクトラリスbluepeakは、
網膜の自発蛍光を測定して網膜の機能も分かるのです。
左は視力不良を訴えたものの、他院で診断がつかず、
当院に来られた患者さんの眼底写真です。
一見したところでは異常がなさそうです。
しかし、自発蛍光撮影をしてみると、
過蛍光の所見が得られました。
正常な左(便宜上左右反転画像にしてあります)
と比べると明らかです。
スペクトラリスOCTで見ると、ellipsoid zoneから
網膜色素上皮までの色調の変化が認められます。
急性の視細胞外節障害と思われます。
自然治癒傾向が高いので、経過観察となりました。
スペクトラリスは同一部位を最大百回加算平均するので、
画像が鮮明であるのみならず、同一部位での変化を
3.5μmの誤差で検出できます。
左図の上は初回測定画像、下はその後の測定画像ですが、
赤地の部分が変化量(網膜神経線維層の厚みが薄くなった)
を表しています。点眼薬が充分か、それともを増やす
必要があるかをこれを見て決定します。