視界に突然、ゴミが飛んで見えるのに気付いて
驚いたことのある方は多いと思います。
そのほとんどは硝子体という、眼球の中につまったものの変性に
よるものです。
下に示したのは、突然、右目の視界に黒いゴミが飛ぶのを
自覚された患者さんの例です。
眼底カメラでは一見、何もないように見えます。
どうやら硝子体中に浮遊物があるようです。
このような時には前置レンズが役に立ちます。
左からVOLK社のSuperfiledNC,SuperpupilXL,SuperQuad160レンズです。
左の二つは角膜に触れさせないで眼底観察が出来るので重宝します。
一番右のは160度の視角で網膜最周辺部を観察するためのレンズです。
今回は一番左のSuperfiledNCレンズの出番です。
後部硝子体剥離による飛蚊症と分かりました。
この患者さんの場合には発症してから日が浅いので
weiss’sリングも乳頭のすぐ上に浮遊していて、
眼を動かすとアメンボのように追っかけてきます。
しかし、日数が経過すると硝子体の虚脱が進んで
目を動かすとあちこちに動き回るようになります。
(後部硝子体剥離に)
乳頭のやや手前に浮遊物が見えます。(矢印の先)
これはweiss's
ringと言って乳頭に付着していたグリア組織が離れたものです。
ビデオ画面でご覧下さい。
硝子体のにごりや、硝子体の剥離による以外の飛蚊症には、下記のような場合があります。
@眼内に炎症を起こしている場合。
A網膜の血管から出血した場合。
B硝子体内に結晶が出てきた場合。
それぞれの場合の説明をしましたので、リンク先を見てください。
後部硝子体剥離を生じた場合には、
網膜周辺部に裂孔が出来ている可能性が数パーセント
ありますので、極大散瞳の後に、
上の一番右端にある
SuperQuad160レンズを用いた眼底検査を
勧めております。
網膜に裂孔が生じると、
5%から15%(だいたい、一割ぐらい)が
網膜剥離に至ります。(網膜剥離について)